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「能動的に」聞く
平野圭子 | 2010年05月19日
今、万博で話題の中国。
ここ最近私は、香港在住の中国人のコーチ6人と
毎週電話会議のトレーニングを行っています。
彼らはこれから中国で始まる「コーチ・トレーニング・プログラム」(CTP)のトレーナー候補で、「オン・ザ・ジョブ・トレーニング」の一環として実際のプログラムを受けていただいています。
私は今まで、アメリカのコーチや韓国のコーチなど、カルチャーの違う人たちと一緒に幾度となくトレーニングを行ってきました。
そして、その都度、文化的背景によるコミュニケーションの違いに直面しています。
アメリカのコーチたちは、「どのように自分が発言するか」というスキルがとても高い。
一人が発言し終わった直後に自分の意見を挟むタイミングが絶妙で、
その様子は、まるで事前に段取りができているかのようでした。
私もそれを真似てみようと取り組みましたが、
当初は、発言しようとすると他の人とタイミングがかぶってしまったり、
その人がまだ話し続けるのをさえぎってしまったり、
逆に発言のタイミングを逸してずっと黙ってしまったり…など苦労しました。
うまく自分をアピールできなくて、存在感を失ったものです。
また、韓国のコーチたちですが、彼らはとにかく「熱っぽく」語ります。
自分の番が来るまで待ちきれずに話し始めたり、賛否両論が頻繁に飛び交ったり。
「私たちはこうしたい」という積極性や主体性が高いので、
私も根拠や理論を用意してきちんと議論する力が求められました。
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さて、今回一緒にトレーニングしている香港のコーチたち
(香港の方たちは中国本土と香港と区別するので、
あえて「香港のコーチたち」といいます)も
よく話をするという点では、アメリカと韓国と似ているのですが、
実は少し異なります。
彼らが話すセリフの中には、
「○○さんがおっしゃっているように…」
「今、○○さんがこうおっしゃいましたが…」
「○○さんの話を聞いて…」
と他の人の話を引用することがとても多いのです。
それを聞くにつれ、彼らがとても注意深く、相手の話を聞いていることがわかります。
また、相手の話していることを積極的に聞こう、取り入れようと
していることが伝わってきます。
一旦話し始めると、時に長く話してしまうこともありますが、
聞いている人は飽きることなく、能動的に聞いている様子が見受けられます。
これは、コーチングスキルとも関連していて、とても興味深いことです。
「○○さんのおっしゃるように」などと一言加えることは、
「私はあなたの話を聞いていますよ」という意思表示のひとつであり、
受け取ったほうにも「聞いてもらっている」という安心感、信頼感が生まれます。
他の人の意見を聞き、それとリンクさせながら自分の話を展開させていく
香港のコーチたちのコミュニケーションのとり方からは、
「私はこう思う」ということをあえて言わずとも、
一緒にその場を作り上げているという活力が感じられます。
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日本の場合は同じように電話会議を使ったトレーニングをしていて、
一人が長く話したりする場合、
「もっと他の人にも意見を振ってほしい」と指摘をいただくことがあります。
その場合は、できるだけたくさんの人が発言できるよう工夫します。
こうした指摘の背景には、「聞いているだけでは損。話す方が上位」
という暗黙の感覚があるのかもしれません。
コーチングのベースとなる「聞く」というスキルは、
ただ「音を聞く」ということではなく、
「関心を持って聞く」という能動的な行為を指します。
以下は良い聞き手の5つの条件です。
●話をさえぎらず、最後まで聞く
●先走って結論を出さない
●言語以外のメッセージを聞き分ける
●相手の言葉をリフレインする
●質問をする
(出典:『コーチングの教科書』 伊藤守著 アスペクト)
「『聞いた内容を引用して相手に伝える』ことは、
相手の聞かれているという実感を高め、
お互いが影響しているという感覚を大いに芽生えさせる」
そのことを、私はトレーニングを通じて、
香港のコーチたちから学びました。
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