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K19
鈴木義幸 | 2004年05月12日
映画の中に出てくるセリフには、
どうすれば人を動かすことができるかということについて
示唆を与えてくれるものがたくさんあります。
先日も『K19』という映画をDVDで見ていて、
「なるほど!」とうなるシーンがありました。
(この映画は実際にあったストーリに基づいて作られています。)
K19とは冷戦時代のソ連の原子力潜水艦です。
その艦長、アレクセイをハリソンフォードが演じています。
アレクセイ艦長は次から次へと厳しい指示を艦員に与えます。
最初は従順に艦長の指示に従っていた艦員たちも、
次第にその厳しさに内なる不満を溜め込んでいきます。
そんな折、艦内で放射能漏れが起こります。
アレクセイ艦長は矢継ぎ早に命令を出し、事態の収拾に努めようとします。
しかし、艦長の思ったようには事は運ばず、艦員の信頼は揺らぎ始めます。
最後の一手を打つべく艦内放送をしようとマイクを握るアレクセイ艦長に、
副長のミハイルが伝えます。
「Do not command, do ask.(命令ではなく、頼むのです)。」
マイクを握ったアレクセイ艦長のトーンには、それまでの命令調でない、
心から君たちの支援を求めているんだという真摯な想いが込められていました。
艦員は大声をあげて艦長の「頼み」に呼応します。
一瞬にして、全員でこの難局に立ち向かうんだという雰囲気が艦内に満ち溢れ、
K19は窮地を脱しました。
命令は組織の中のある役割から別の役割への情報の伝達です
(通常は上位者から下位者への)。
メンバーの組織に対する忠誠心が強いときは、
命令は組織を動かすための非常に有効なコミュニケーション手段ですが、
メンバーの組織に対する信頼が揺らいでいるときは、
命令はその効能を奪われます。
実際には、上位者は組織内に「揺らぎ」が起こると、
それを鎮静化させようとより命令に頼ろうとするところがありますが、
これは逆効果です。
そんなときは、アレクセイ艦長のように、
思い切ってメンバーに「頼んでみる」ことも選択肢の一つです。
「頼む」というのは、それまでまとっていた役割を外し、
素の自分にならないとできない行為です。
それはかなりの勇気を必要としますが、
その勇気にメンバーは応えようと思うのです
素の自分を見せるというリスクをとってまで
自分達の力を求めてくれるなら喜んで動こうと。
時には役割をしっかりまとい、時には役割を外し素で関わる。
全ては「WE」の成果のために。
部下をコーチングするときに大事にしたいあり方です。
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